PSO2:NGSと比較する、幻塔の初期段階レビュー

幻塔(Tower of Fantasy: ToF)を、ここ数日でプレーした。普遍的なレビューは腐るほどありそうだし、比較対象によく挙げられる原神、ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド、パニシング:グレイレイヴン、崩壊3rdといったゲームを私は全くプレーしたことがないので、ここでは私がよく遊ぶMMOであるところのPSO2:NGSとの比較を中心に、現時点で得られた感想を述べる。
初期段階レビューと題した通り、このレビューは今後の発展性を無視した意見、あるいは初期の感動に突き動かされた意見を含む可能性が多分にある。あるいはこのゲームがまだスタート直後であるという点を加味しない批評を行っている可能性もある。その辺りを考慮した上でご覧になっていただきたい。

1.キャラメイク

最もよくNGSと比較されるポイントと思われる。簡潔には、「顔の自由度はNGSに勝り、その他の自由度はNGSに劣る」と言えると思われる。容量・積み重ねた時間・経営母体全てにおいて規模が桁違いなので、顔が細かく調整できるだけ十分評価できると思いたい。

また優劣に関係しない強みとして、幻塔はイラスト調であり、質感がNGSとはそもそも異なる。個人的にはこちらの質感が好みなので、クリエイト後の満足度(理想のキャラクターを作れた感)は高かった。
一方で、髪型は3パーツに分かれている割に納得いくものに仕上がらなかった、目の形と睫毛にも気に入るパーツがない、アクセサリーにやや乏しい、体型はごく限られた部分しか調整できないといった点は不満として挙げられる。
身長が三段階なことに関しては、細かく調整できたところで大体の人が用意された3パターンと同じような身長に収斂するだろうと思っているので特に不満ではなかった。
Live2Dのぎこちない動きが苦手なのでスタート前の各種画面に出てくるモデルを見ては不安になっていたが、ゲーム内ではほとんどLive2Dらしきモデルが登場しなかったので、そこはちょっと安心した。ボイスが固定なことについてはやや残念だが、あんまり気にしていない。キャラクターのイメージと乖離しそうなのでオフにできるといいかなと思う。
衣装やアクセサリーのバリエーションについては、自由度が低いのは変わらないだろうが、今後の追加に期待したい。

2.ストーリー

二番目にこれを挙げるのは、ストーリーがNGSの抱える最も大きな問題の一つであると考えているからである。
幻塔のストーリーは、危険な副作用を持つ革命的なエネルギーが発見され、なんとか上手く付き合って発展していた中で大規模な事故が起こり、主人公はその後の世界で、エネルギーを利用し続けたい勢力とそれを嫌う保守勢力との衝突に巻き込まれる……という具合だと思われる。詳しくは把握していないが、恐らくこんな感じ。
シナリオとしてはどこかで見た感じはするものの、SF要素を入れたゲームの導入としてちょうどいいのだろうと思うし、個人的には文句ない。むしろ明確な目的とよく動く(活躍する)敵を用意している時点でNGSよりマシと言える。
細かい点では、主脇役(と言うべきか)の一人であるシャーリーという少女がやたらと騒ぎを起こすという意見を見て確かにと思ったが、モンスターに追いかけられる、兄の忠告を無視して出しゃばった結果兄妹喧嘩になる程度で、主人公の足を引っ張っているようなシーンはあんまり無いので、許容範囲内。敵側が肝心なところで主人公を仕留めないのには首をかしげざるを得ないが……
演出面で言うと、翻訳がやや甘く思考や行動が突飛に見えることがままあるのと、せっかくフルボイスなのに再生されない、テキストやキャラクターの動きが乱れるといった不具合があるのはやや残念。今後の修正に期待したい。
そしてこれは上手く説明できないが、サブクエストでNPCをてくてく歩かせたり、クエスト用アイテムを取るのに一定の待ち時間が設けられたりしている部分に、何とも言えない「海外(いわゆる大陸の)ゲーム感」を覚えてしまうのが小さな不満点だったりする。ゲーム経験が少ないので今までやってきた国産ゲームが特殊例だった可能性もある。

3.強化システム

大体つまらんので、多くのメディアのプロモーションでは煙に巻かれる部分。
戦闘は三種類の武器を切り替えながら行う。アクションについては後述するとして、これの入手は基本的にガチャである(マルチプレイで倒すボスからも低確率で入手できる)。最高レアリティの入手はそれなりに運に左右されるが、今のところ特別困ってはいない。やりこんで突き詰めるとなると不満が出たりするだろうか。

武器に関してはここで特筆しておきたい欠点がある。武器の持つ属性がフィールドのギミック解除に関係することが多く、特に「炎」があるかないかでかなり利便性が変わる。武器のレアリティは平たく言うと最高レア、中間レア、コモンの三段階なのだが、炎武器が中間レアリティのSRに存在しないのである。私は探索中、頻繁にコモン武器とメインの武器を入れ替えることを余儀なくされた。一応フィールドに解決策があることもあるが、常にというわけではないので、やはり不便である。アルケー(探索の補助をする道具)でも解除ができそうだが、入手にはある程度のリソースを集中して割く必要があるし、すぐに引き出せるアルケーの数には6枠の制限があるのでこちらも窮屈そうだ。

強化要素には他のゲームでもよくある武器強化の他に、ボリションという追加の強化要素がある。こちらも基本はガチャ(冒険で低確率ながら入手可能なのも同様)だが、チップのような見た目があるだけでぱっとしない割に数がいる。一つの武器に4個装備できるので、3つの武器だけでやっていくとしても12個育成することになるし、さらに多くの武器を使い分けるならそれ以上ということで、これはいかがなものかという印象だ。モチベーションの障害になりそうな予感がしている。
さらに、防具(装備)、サプレッサー(生命維持装置、ゲーム的にはステータス強化要素)、そして先ほど述べたアルケーにも強化要素があるが、こちらの強化素材はストーリー進行やマルチプレイで完結しているので、まあ良いと思う。

ただ、複雑すぎるという意見も聞かれる。個人的には、全てがユーザーの手元で強化可能なばかりに、自分に今何が出来るのか、どこまで出来るのかが分かりにくいのが問題なのではないかと思う。UI的な問題もあるだろう(私は装備の「強化」と別に「ランクアップ」という項目があるのにしばらく気付かなかった)。街に鍛冶屋NPCを置いて、強化はそこでのみ行える……というようにした方がユーザーとの交流も図りやすかったのではと思ったり思わなかったり。オープンワールドの自由感を損なうから難しいだろうか。

先ほどは言っていなかったが、武器を入手すると同時に「アバター」が解禁され、そのアバターの見た目(モデル)で探索することができるようになる。それだけならまあいいが、どうやらアバターにも強化要素があるようで、やりこみの過程でアバターの着用を強制されるようなことがあるのであれば問題だろうと思うが、アバターの育成にまるで興味が無いので真偽を確かめられていない。

4.フィールド

先にはっきり申し上げると、幻塔のフィールド探索は圧倒的にNGSより優れている。
これまで何度か出てきた「アルケー」は具体的に言うとゼルダシリーズのブーメランやフックショットみたいなもので、探索のギミック解除と快適な移動に貢献してくれる。強化により火力の向上などが見込めるようだが滅多に強化できる雰囲気でもないし、出来ないからといって今のところ困っていない。

フィールドには属性武器やアルケー、あるいは中ボスの撃破によって解除できるギミックがいたるところにある。解除の方法にもそれなりのバリエーションがある(私は空中から降下する攻撃で解除するギミックが好きだ)。景品はガチャ用のチケットアイテム(ここではコアと呼ばれる)を中心に様々だ。個人的に嬉しかったのは、これらがどこにあるかマップに示されることだ。ある程度近くまで行く必要はあるが、サービスイン当初まともな目印もなく、現在でもざっくりとした座標しか分からないNGSと比較すると、やはり優れていると言わざるを得ない。
欠点を述べるなら、先に挙げた通り探索に重要な炎属性武器が手に入りにくいか、武器として弱いということだ。武器には3枠、アルケーにも6枠の制限があるし、武器の充実やフィールド内で解決策を複数用意するなどの対策が欲しい。
もうひとつ、現実時間が経たないと解除できないギミックがあることも不満として挙げられる。何回も同じ場所を訪れる機会がクエストなどで用意されているとはいえ、単純にじれったい。時間稼ぎとしても失策だと思う。あるいはメモやピンをマップに残しておけるようにしてほしい(仕様としては残せるようなのだが方法をまだ知らない)。

次なる美点として、移動が楽だ。瞬間移動が可能なクイックトラベルはもちろん、移動用のアルケーと、アルケーとはまた別にあるバイクなどの乗り物により、困ることはほとんどない。
特に垂直方向に大きく高度を稼げるジェットパックは本当にNGSに欲しい。ください。120円の課金になるがロボットアームも、これはまんまフックショットで、壁を登るのに非常に有用である。この二つで探索が相当に楽になるので、正直120円の捨て値で売るくらいならデフォルトで使えるようにした方が多くの人の益になると思う。
欠点を言えば、乗り物は高度と狭路に弱いので、なんだかんだ言って使用できる場所が限られるということだ。古びた道路など、あからさまに「ここは乗り物で移動してください!」というようなロケーションもあるが、個人的にはもうちょっと活躍の場が増えるといいなあと思う。
加えて、戦闘中は移動や宝箱系ギミックの解除が大きく制限されるのも煩わしい。敵はいつでもこちらに喧嘩を売ってくるので、無視してテレポートや乗り物での移動、あるいは補給倉(一定時間待つと開く宝箱みたいなもの)を取得したい時などにはストレスの源になる。

また、食材が狩猟採集により手に入り、それで料理ができるというのは個人的に好感触だ。自分で食材を入れてレシピを開発したり、サブクエストのクリアでレシピが手に入るのも面白い。というのも、NGSでは食材だけがあってそうした要素は全く無いからである(PSO2には無くはないがレシピの要素はない)。

5.アクション

幻塔のアクションは、スマホを考慮した設計のため攻撃の段数と長押しの有無、また滞空しているか否かと移動入力があるか否かによりバリエーションの確保が行われており、スキル(NGSでいうPA)のようなものは武器固有の1種類と、武器切り替え時の特殊攻撃のみに留まっている。
これらの挙動は武器の詳細を見て確認する他なく、気付けば面白いのだがそうでなければパッと見段数のある通常、空中攻撃、スキルくらいしか無いようにも感じると思われるので、少し不親切かなとは思った。そしてそれらを覚える必要があるのでやや面倒。モンハンなどの他のアクションゲームをやっている人にとってはあまり苦ではないかもしれない。

具体的なアクションの実感については、正直まだよく分からない。大体の近接武器にある、空中攻撃の初段や回避直後の攻撃で敵に大きく接近する挙動は、是非ともNGSに欲しい。あんまりアクションとは関係ないが、納刀時のモーションがかっこいいとか、納刀後数秒で武器が消えてキャラクターが見やすくなる(消えないようにも設定できる)ところとかは地味に高評価。

欠点としてはっきり言えるのは、回避によりカウンター的な攻撃が可能なのにも関わらず回避の判定が分かりにくい(回避をかなり先に出さないといけない?)という実感があることだ。攻撃直前に発光するなど、予備動作は分かりやすいものが多いので、もっとギリギリまで回避成立の領域を広げてほしい。カウンターにクールタイムがあるのも分かりにくさに拍車をかけている気がする。カウンターの無い回避は少しスローになってダメージを食らわない以外に判別の手段がなく、切迫した戦闘中ではよく分からない(私だけか?)。せっかく回避ゲージが見えるので、クールタイムが明けたらゲージの色を変えたりしてほしい(よく確認してないので実はしてるかも)。
また、ロックオンのように攻撃対象を固定する能動的な手段がないので、変な方向に攻撃したり、目的とは別の敵を攻撃することも多い(特に回避語の弓)。特にZ軸の判定が弱いような気もする。NGSが攻撃方向の決定やZ軸への対応にことさら優秀という風にも思わないので、アクションゲームを作る上での鬼門なのかもしれない。
あと、移動時の慣性が昔のマリオみたいな(?)融通の利かなさなのが少し気になる。後ろに戻りたくても全然戻れない。夢世界(ランダムで遊べるちょっとしたアトラクション)でシビアな操作を要求されるとすごくイライラした。

6.コミュニケーション

NGSはコミュニケーション面の設計が著しく遅れていると思っているのだが、改めてそれを痛感した。

幻塔にはまず無料のワールドチャットがあったので、この時点で印象は良かった。
ユーザーは100以上あるランダムなブロックに振り分けられ、示し合わせない限り人数の多いところに移動したりはできないので、探索中他のプレイヤーを見かけることはあんまりない。ストーリー上の重要拠点にせいぜい10人くらいいるのを見るくらいだ。それ自体は気楽で良いかもしれないが、二人でなければ解除できないギミックが途中から現れるようになって、これがなかなか解除できないのでそこはどうかなと思った。時間が経ってユーザーが減れば結局解除は難しそうなので、あんまり気にしないことが肝要かもしれない。

NGSでのチームに相当するギルドは固有のクエストと、ギルドへの食材アイテムの寄付、およびそれをこなして貰えるポイントによるアイテム交換など、束縛感としてはほどよい感じだ。人数が多いほど有利そうなので、後発に不利なのはどうだろうという印象もあるが……
上位役職のユーザーが不在でも入会申請が行えることを評価点として挙げたいが、これは正直NGSが本当に遅れているだけだと思うので、やめておく。

マルチプレイは大抵、スタミナ制(8分で1回復の上限180、24時間で全快)のダンジョンに4人で挑むか、フィールドのボスとの戦闘を不特定の多人数で行う(ワールドチャットでボスのいるサーバーに人を呼ぶ)。真剣にマルチプレイをやる段階にないのでその実感をはっきり語れないが、足手まといになるようなことが無く気楽とも言えるし、実力者だけが集まるマルチコンテンツが無さそうなので物足りないとも言えるかもしれない。いわゆるPay to Win(課金が強さに影響する)ゲームだし、一応ソロでは実力を測れるようなコンテンツがあるし、ランキングみたいな己の強さを誇示できる要素もあるし、まだ始まったばかりだしということで、マルチのエンドコンテンツが無さそうということに文句を言うのは尚早だろうと思われる。

その他のところでは、4人マルチかつ曜日ごとに異なるダンジョンが開放されるので今後の過疎とマンネリにある程度の対策がなされていること、与ダメージ・被ダメージ・回復割合が表示されるので貢献度が分かりやすいこと辺りは好印象だ。NGSにこれらの機能が無いからとも言える。
4人マルチの際は自動マッチングの他にパーティー(幻塔内では「チーム」と呼ばれる。NGSではこれがギルドに相当するので最初戸惑った)を組むこともできる。今後詳細な条件を設けたくなるコンテンツが出た時には役に立つだろう。何よりNGSはシビアなコンテンツがメインな割に現在こうしたサーバー全体へ呼びかけるパーティー募集機能というものが無いので、どうしても羨ましくなる。

7.その他のコンテンツ

実はこの幻塔というゲーム、レベルキャップも時限式で、1日ごとに上がっていく。コンテンツの条件にレベルがあるため、現在進行形でコンテンツが増えていくことになる。
今言えることとしては、懸賞クエスト(いわゆるデイリー)、貢献値(いわゆるウィークリー)と通行証(いわゆるミッションパス、バトルパス)などにより、探索への誘導がなされている。探索への誘導という点では他にも日ごとにランダムな場所に現れるダンジョンへの入口、曜日ごとに異なるオブジェクトからアクセスできるミニゲーム、ストーリーの進行に応じて過去攻略したフィールドにサブクエストが増える、他のユーザーが隠したビーコンを探す宝探しといったものもある。
あとは4人用ダンジョン、1人用の腕試しなど、これまで断片的に挙げてきたものが独立したコンテンツとして存在する。PvPの要素もある。ある程度統一したステータスで戦うらしいが、私はあんまりPvPが好きではないのでまだ触っていない。
何が一番言いたいかというと、現時点でやれること・やらせてくることの幅はNGSよりも広いのではなかろうかということだ。見た感じ、エネミーの種類は初期NGSよりやや多いかなと思えるくらいで、使い回しているようなところも多く見受けられるが、ダンジョンのバリエーションでその感じを薄めたり、様々なパズル要素を取り入れる創意工夫によるものが大きいように思う。特にユーザー間での宝探しには感心させられたが、何か先例があるのだろうか。

書く場所が無いのでここに書くが、サウンドについても述べておきたい。NGS(PSO2)といえばサウンドが強みの一つと言えるところがあると思うからだ。
軽く遊んだ感じでは、フィールドBGMはずっと聴くのに堪えるという意味では悪くないと思う。フィールドの境目(街と外の境目など)が曖昧だからか、BGMの切り替わりのタイミングがよく分からないのと、戦闘時の派生BGMは微妙なものがいくつかあるかなあという所感。いわゆる「熱い」BGMに乏しいような感覚を受けるが、BGMのレパートリーはコンテンツの数と一蓮托生な気もするし、今後に期待すべきところもかもしれない。私も別にPSO2初期の森林・火山・砂漠辺りのBGMを殊更良いとは思っていないし、NGSについても同様だ。
一点、ケートス島で流れた(条件不明)歌は良い感じだった。

8.UI

UXとも言えるかもしれないが、高次のレアリティの装備を手に入れた時に強化段階を引き継げる、クエスト用のガイドが道筋を示してくれる、パーティーを募集する時に目的に合わせてレベル制限などを自動で設定してくれる、ランダムにアイテムを入手するボックス系アイテムは使用時にデフォルトで最大数使用する、辺りは感動ものだった。余計な苦労をさせないようにする工夫が多く見受けられた印象。
一方で一括で強化素材を選択する時のアルゴリズムの出来が妙に悪い、強化素材として利用できる素材は一種類しかないのに自動で選択してくれない(今後の拡張を見越している?)、実績解除の報酬や、いわゆる月パスで貰えるデイリー報酬をいちいちメール画面から受け取らないといけない辺りはパっと思いつく限りでも不満点として挙げられる。

操作について、キーボードとマウスでやっているので不自由はあんまりしていないが、コントローラー対応が不十分らしい。案外コントローラーでPCゲームをやる人は多いようなので、対応が待たれるところではあるだろう。
いわゆるキーマウでやっていて感じたこととしては、まず戻る動作は全てEscキーで/ページを進めるような動作は全てアクセスorEnterキーで代替可能にしてほしいということ、キーコンフィグに対応してないアクション(しがみつきからの飛び降りなど)を無くしてほしいということだろうか。
細かいところではチャットは簡易ウインドウで常に表示したい、ギルドクエストは破棄可能にしてほしい、探索要素の分類はしっかりしてほしい(地域分類と実際に探索要素がある地域が一致しないものがいくつかある)、有料ショップに何も無いのに赤いバッヂを付けて気にかけさせるのをやめてほしい、実際には現段階でのクリアが難しいようなクエストを達成可として大々的に知らせてくるのをやめてほしい、など。解除未完了のギミックが表示上解除されたように見える、クエストのマーカーが正しく出ないというような結構不便な不具合もあるので、この辺りはなるだけ早く直してほしい。
これはただ個人の理解力の問題かもしれないが、最初は出ていた各種ショートカットキーの説明が途中からなくなったのが不便(しかもキーコンフィグ不可だったりする)だったのと、Altを押すとカメラ無効にして画面中のボタンが押せることを知らなかったのでかなり苦労した(いちいちチャットやメニューを開いていた)。

ついでに、これは何度か触れたが翻訳が全体的に甘いのはやはり気になる。アルケーの装備切り替えが「出発」だったり、恐らく100回死亡(defeat?)する実績を「100回勝利」と訳するなど、やや致命的なものもいくらかあるため、なんとか丹念な翻訳を期待したい。機械翻訳に雑に突っ込んだのか、エネミーや素材の名前が場所によりコロコロ変わったりするのも気になる。あとは日本語以外のユーザーも多いので、ボスエネミーなどについては英語表記を併記できたりするとさらに良いが……

9.やりこみ要素

さて、現時点での批評を一通り行ったところで、今後、例えば一か月とか半年とか経った後のこと、あるいは今後どんなコンテンツがあると良さそうかを考えたい。中国で先立って運営されているので、そちらのアップデートの履歴を見れば済む話かもしれないが、楽しみがなくなりそうなのであえて見ていない。

「今はあるが後々無くなる」というものの代表は探索要素だ。私は探索要素とレベルキャップに時限式の制限がかけられているのも踏まえて、あえてあまりがっつくことなく遊ぶことを心がけている。他のソーシャルゲームのように1日に何回もゲームを開かせたがるような仕組みはない(スタミナは24時間で満タン、1日3回もらえる料理バフも3回分までスタックできる、など)。制限があるのを分かっているからストッパーを掛けられるみたいなところがあるのかもしれない。
一方で、料理の素材を集める、ユーザーの埋めたビーコンを探す、恒常的な探索要素(ゲーム内でいう錆びた箱や暗号ボックス)などで、常に一定の探索は続けることになるだろう。探索要素を解除した際に確率で出現する「夢世界挑戦」というアトラクションは、報酬がかなり高質でそれなりのバリエーションもあるので、これが小さなモチベーションにもなっているのかなと感じた。

探索要素が無くなるほどやりこむとなると、最後に行き着くのは武器やボリション、防具の強化ということになる。ほぼ制限なしでやれる1人用の力試しクエストやPvPにのめり込むことも一応できる。実績埋めやレアドロップ扱いになっている乗り物のパーツを集めるのもあるか。マルチ推奨ボスのバリエーションが少ないのもあり、やや作業的になってしまうのは避け難い気がする。多様な選択肢があるだけ、NGSよりかマシかもしれない。あちらはクラスと武器種が多様だった分でカバーしているが、エンドコンテンツにはかなり事欠いていた印象がある。
他のゲームで比較的よく見られるフリーマーケット的な機能が無いのは、良いことなのか悪いことなのか。自らの運で大体を解決しないといけないのでキャラクターが煮詰まるまでの時間が長くなる、コミュニケーションのきっかけになるのはメリットとも言えるかもしれない。

まとめると、エネミーの種類の少なさは弱点になりそうで、あとは武器以外の強化要素がパッとしないのもなんだかんだ響いてきそうという印象が主だ。しかしながら現時点でも十分にやりこむためのコンテンツはそれなりにある気もする。個人的にはせっかくサーバーの風通しが良いので、もう少しPTを組んで何かするものがあっても良いんじゃないかと思わないではない。ダンジョン系はPTを組んで攻略したら大体解散だし、それ以外ではボスを倒すくらいしかないので、PTを組んでフィールドをウロウロするような感じのものがあると楽しそう……とか。余計なしがらみになってしまうだろうか。

10.総評

結論から言って、幻塔はキャラメイクと強化システムを受け入れられるならば現時点でも十分に遊べるものになっていると感じた。マルチの恩恵がある程度強いので、その点で人を選ぶこともあるかもしれない。
早めの改善が期待されるのは翻訳の修正、演出面のバグ解消、炎武器の有無による探索の自由度の格差、アクション面の直感的な分かりにくさ、コントローラー対応を含めたUIの改善辺りだろうか。今後もっと面白いものになっていけばいいなと思う。